#11 液体のサンプリング方法
今回は現場で定期的に行われる、液体のサンプリング方法を解説いていく。
目次
2-6.②バルブを少し開け、サンプルをゆっくり容器へ流し込む
1.サンプリングとは?
サンプリングとは検査や調査のために抜き取りを行い、見本を抜き出すことをいう。
製油所や化学工場では製品評価の為に内部流体を一部抜き出し、それを検査する。
2.液体のサンプリング方法
ここからは具体的な液体のサンプリング方法を作業手順に沿って解説していく。
2-1.サンプル名等を明確に表示する
現場では、複数の場所や、複数の流体を対象にサンプルを採取することもよくある。
その為、サンプル採取前には必ずサンプルボトルやサンプル瓶に札を付けたり、記名すること。
そうしないと、後から、どれがどのサンプルかわからなくなり、測定データ間違いや、誤ったサンプルを提出してしまうので、注意しよう。
2-2.冷却水を流す
図のように60℃以上の流体をサンプルとして抜き出す際は、
やけどの危険性があるため、必ず冷却システムを使用するか、
図のようなジグを自作してから、作業を開始しよう。
もちろん冷却システム以外にもファイスシールド等の適正な保護具を着用すること。
2-3.①バルブを開ける
サンプル採取用のラインには以下のバルブが取り付けられている。
名前 | 目的 | |
①バルブ | メインバルブ | ラインの孤立用 |
②バルブ | 流量調整用ミニチュアバルブ | 流量調整用 |
先ず孤立バルブである①バルブを開けて、サンプル配管中に液を張り込む。
2-4.②バルブを少し開け、端切りをする
②バルブを開けて、配管中の古い内部流体を、フレッシュな内部流体に置換する為に、
ボンディングされた金属バケツまたはブローダウンドリップに端切り(ブロー)操作を行う。
もし液が綺麗ならず、ブロー作業が長引いた場合は①バルブの
バルブ開度を大きくし、ブロー流量を増やすこと。
流量を増やすことで、液体の置換にかかる時間も短縮できる。
2-5.②バルブを閉める
端切りやブロー操作の完了確認は、内部流体の色味に異状はないか、
液体が無色透明の場合は、不純物が混ざっていないこと等を目視で確認し、
異常が無ければ、②バルブを閉める。
2-6.②バルブを少し開け、サンプルをゆっくり容器へ流し込む
端切り、ブロー操作が完了したら、サンプルノズルにサンプルボトルをセットし、
②バルブを少し開け、サンプルをゆっくり容器へ流し込む。
この時、②バルブの開度は微開とし、流速で空気中のガスをなるべく
巻き込まないようにすること。
水分サンプルを取りたい場合は、特に注意すること。
勢いよくサンプルを採取すると、空気中の水分を吸収して水分濃度が高まる傾向にある。
2-7.サンプル容器に80%まで液を採取する
サンプルを容器に80%まで液を採取する。
水の場合は満水まで取り、密栓すること。この際、破裂しない素材の容器で
サンプルを採取すること。ただし、残留ヒドラジン測定用容器で
薬品を入れてあるものについては、規定量サンプリングすること。
サンプルが熱油の場合、やけど防止等の対策をとること。
また、高蒸気圧サンプルと予想される場合は、瓶やボトル破損による
人心災害を防止する為に、サンプル容器の変更等、
適切な対応を行い、サンプル作業を進めること。
2-8.②バルブを閉める
サンプル容器に80%まで液を採取したら、②バルブを閉める。
なぜなら①バルブに比べて、②バルブはサイズが小さく
操作しやすいので②バルブを先に閉めること。
2-9.①バルブを閉める
①バルブは最終的な孤立の為のバルブなので、②バルブを閉めた後は必ず①バルブも閉める。
2-10.②バルブを開けて脱液後、②バルブを閉める
2-9で①バルブを閉めた状態では、バルブ①、②管に流体と圧力が残っている。
そこで、②バルブを開けて脱液後、②バルブを閉める。
この操作はとても重要で、SM(スチレンモノマー)のように非常に重合しやすい油は
バルブ間に液を残していると、残液が重合し、サンプルラインとして機能しなくなる。
操作がは必ず脱液、脱圧を行うこと。
2-11.冷却を止める
冷却水を活かしている場合は、作業の完了を確認してから冷却水を停止する。
熱源がある状態で冷却水を停止すると、冷却水の温度が上昇し、フラッシュして
とても危険なので、十分熱源が冷めていることを確認してから、
冷却水を停止すること。
また、サンプルクーラー内の腐食防止が必要な場合は、冷却水も脱液すること。
2-12.容器にキャップをし、汚れをふき取る。
作業完了後は容器にキャップをし、試験場に運搬する。