#8 ドレンアウト

今回は基本的な操作の解説の中でも特に作業回数の多い「ドレンアウト・脱液操作」について解説していく

精油所や化学工場で働く人であればだれでも一度は経験する操作。

また、工事準備のための系の孤立を行った後に、系内の液を抜くことで施工者の安全確保をするうえでとても重要な作業。

基本作業であると同時にとても重要な操作なのでしっかり解説していく。

 

目次

1. 金属バケツを準備する

2. キャップを外す

3. ドレンバルブを少し開ける

4. 脱液する

5. ドレンバルブを閉める

6. キャップを取り付ける

7. 金属バケツと脱液した液体を片づける

 

1. 金属バケツを準備する

 

水やケミカルのドレンアウトの場合はプラスチック製の容器や耐ケミカル性能を持ったバケツを準備する。

しかし、ここでは脱液する液体が可燃性であることを前提にして話していくので、金属バケツを準備する

まずバケツを用意したら、バケツとアースピースまたはバルブにアース線を取り付けて、

バケツとこれからドレンアウトを行うドレン配管の電位差をなくす。

電位差をなくすことで、ドレンアウト時に発生する静電気による着火を防ぐ目的がある。

可燃性流体のドレンを行うときは必ず、アース、ボンディング、グランディング等の除電作業を必ず行うこと。

特に日本においては冬の時期は乾燥しやすく静電気が発生しやすいので特に注意すること。

また、アルミ製バケツは表面に酸化被膜を作り導通が低いので、可燃物のどれアウトには使用しないこと。

 

2. キャップを外す

キャップを少し緩める。なぜならベントのバルブがシート漏れしている場合、

残液や残ガスがキャップとバルブの間に残存している可能性がある。

キャップを緩める際は必ず、ウエス(古布)等でキャップをしっかり覆い、

フェイスシールド等の適正保護具を使用して緩めたキャップを左右に動かして液やガスが出なくなる脱液、脱圧を行う

脱液が完了したら、キャプを取り外す。

配管の圧力が高ければ高いほどキャップを緩めたときに飛散する内部流体の勢いは強くなるので、しっかりと布等でキャップをカバーすること。

 

3. ドレンバルブを少し開ける

まず、ドレンバルブを少し開けて液体が出てくることを確認する。

この目的はドレンにつまりが無く、正常にどれアウト操作ができることを確認する為である。

特にドレンアウトするときの液体の温度、圧力、性状(特に引火性、有毒性)を理解すること。

温度が高い場合は耐熱服やフェイスシールドと言った指定された保護具を着用して作業すること。

また、含油配水系へのドレンアウトは排水処理系に悪影響がないことを事前に確認してからドレンアウトを行うこと。

むやみにドレンアウトすると、PHやCOD等の上昇につながる。

各プラントで基準値があるはずなので、その排水処理設備に影響がないようにすること。

悪臭を発生するものは防臭設備に接続する等の対応を実施する。

詰まりがあったら職長や上司、チームリーダーに連絡すること。

誤ってもドレンをつついてつまりを貫通させないこと。

いきなり内部流体が吹き出して大変危険だ。

 

4. 脱液する

 

ドレンにつまりが無く、正常にどれアウト操作ができることを確認したら脱液操作を行う。

イメージや言葉で言うと簡単だが、この作業はとても奥が深い。

入社して間もない人はイメージしにくいと思うし、現場経験が1~2年程度の人は

ここまで深くイメージできていないかもしれない。

しかし、今後一流のプラントオペレーターになるためにはこれから説明することを

よくイメージしながら作業することが大事だ。

パネルオペレーターの経験がある人はよりイメージしやすいと思う。

 

先ずケース1を考えてみよう。

ケース1のドレンの位置はポンプのサクション(吸い込み)に位置している。

このポンプが遠心ポンプであるとした場合、ドレンバルブを勢いよく開けたり、バルブを全開まで開けてしまうと、

ポンプへの液体の流れを阻害してしまい、ポンプがキャビテーションしていまい、吐出圧力がなくなり、最悪の場合装置停止に至る。

もしこの系がバキュームセクションの場合、絶対にサクションからサンプルを取ったりドレンアウトをしないこと。

当然系内はバキュームになっているので、液は出てくるどころか逆にエアーをすって爆発混合気体を系内に生成し、とても危険だ。

なぜベテラン社員や先輩社員がバルブ操作をゆっくり行うように説明するかというと、

いろんなケースはあるにせよこういうことをイメージしながら作業しているからだ。

 

ケース2を考えてみよう。

ケース2のドレンの位置はポンプの吐出に位置している。

また、このドレンは流量計の下流にあり、この流量計はコントロールバル(以下CV)の制御を行っている。

例えば現在の流量が500kg/hだとする。ドレンバルブを開けたときに出てくる流体の流量を100kg/hとしたとき、

流量計の流量は600kg/hになる。もし、CVが500kg/hでAUTOモードで流量を調整している場合、

フィールドオペレーターがドレンを開けたことにより、CVは流量が増えたと思い、自動的にバルブ開度を絞って流量を500kg/hに調整しようとする。

しかし、実際にCVから下流の流量は500-100=400kg/hしか流れていない。

この場合、ボードマンはフィールドオペレーターからもらった情報を元にCVをAUTOもーどからMANモードに変更して、

流量計では多く流れているようにみえるが、CV下流の流量を一定の500kg/hに調整するように努力する。

もしこの操作を突然行ったり、連絡もせずに作業した場合、流量やCVのバルブ開度のフラクチュエーションにつながるので注意すること。

操作前に必ずパネルオペレーターに連絡してから操作すること。また、前述したようにゆっくりバルブを操作するというのもこのようなケースに起因する。

 

5. ドレンバルブを閉める

 

作業が終了したら、ドレンバルブを閉めよう。工事準備のための脱圧、脱液操作の場合は液が完全に出なくなったことを確認して

バルブを閉める。

サンプル採取等の液体を採取するためのドレンアウトの場合は系内は通常運転中の為、次のケースを考える必要がある。

 

ケース2を考える

ケース2のドレンの位置はポンプの吐出に位置している。また、このドレンは流量計の下流にあり、

この流量計はコントロールバル(以下CV)の制御を行っている。

例えば現在の流量計の流量が600kg/h、ドレンバルブから100kg/h、CV下流量は500kg/h流体が流れているとする。

これを閉める場合、いきなりバルブを閉めると以下のことが発生する。

1.系内の流量が増加する

ドレンアウト中、パネルオペレーターはドレンアウト時のCV下流の流量低下を起こさない為にCVをMANモードにしている場合が多い。

ここで、フィールドオペレーターがいきなりドレンを閉めるとドレンバルブ側に流れていた100kg/hが

CV下流にも流れ、設定以上の流量を下流に送ることになる。

この場合系内の圧力、温度、流量変動を起こす原因になるので、

操作はゆっくり行い、必ず操作前にパネルオペレーターに連絡して

コミュニケーションを取りながら作業をすること。

 

2.系内の圧力が上昇する

今までドレンバルブ側に流れていた100kg/hの流量が配管側に戻されることになる。

これは流量の上昇とともに圧力の上昇も意味している。もし系内に安全弁がある場合、行きなるドレンを閉めると

系内の圧力が急上昇し安全弁が作動したり、機器の運転最高圧力に達したりして非常に危険だ。

バルブを操作する場合はゆっくりバルブを閉めること。

 

6. キャップを取り付ける

バルブを閉めたら、ねじ込みタイプがテーパーの場合、シールテープを巻くこと。

締め付ける際は必ず工具を使わず、手で4割程度締め込んでから工具を使うこと。

これもまたとても大事な工程。この作業の目的はキャップのネジ山と、ベントのネジ山をきちんとかみ合わせること

。キャップを取り付けるときはついついいきなり工具で締め付けてしまいそうだが、

ネジ山がきちんとかみ合っていない状態でいきなり工具を使ってキャップを取り付けると、

ネジ山がつぶれて取り返しのつかないことになる。

キャップのネジ山がつぶれた場合はまだキャップを交換すればいいが、もしベント部のネジ山がつぶれた場合、

近くにフランジが無ければ、溶接によって配管を取り換える必要があり、工事準備や最悪生産ロスを引きおこすので注意しよう。

 

4割程度工具を使わずにキャップを締め込んだら、工具を使ってキャップを締め込んでいく。もし間違えて開け方向に少しでも回してしまうとシールテープでのシールが極端に損なわれ、漏れの原因になる。必ずキャップを外して、シールテープを巻きなおす必要があるため十分注意すること。

 

7. 金属バケツと脱液した液体を片づける

ドレンアウトをした後は必ず、液体を指定され他処分方法により処分すること。

そのまま放置しておくと毒性のガスや、可燃性ガスがあたりに充満して非常に危険だ。

そして恒例の言わずもがな、作業をした後は片づけ!!一仕事人片付け。

なかなか、徹底できない人もいるが、後でやろうは絶対嘘。多くの場合忘れる。

必ず現場の清掃、シールテープのカスは拾ってごみ箱に捨てる、使った工具は必ず元の位置に戻すこと。

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