#9 潤滑油の給油方法
ここでは潤滑油の給油方法を図などを使ってわかりやすく解説していく。
目次
1. 潤滑油とは?
潤滑油とは動機械の軸受けや歯車をスムーズに動かすための油のことである。
潤滑油には潤滑性能の他にも冷却効果、さび防止等の効果がある。
また、これらの油は機械加工においては金属等を削る際の摩擦を減らすために、切削油として用いられることもある。
2. 指定された潤滑油を準備する
まず、潤滑油はポンプの軸受け用のさらさらした潤滑油から、
ギヤ用の粘土の高いものなど幅広い特性や種類のものがある。
例えばギヤ用のオイルがなぜ粘土が高いかというと、基本的にギヤはポンプなどに比べて回転数が低く、
さらさらしたオイルを使った場合、ギヤが潤滑油に触れるまでに油膜が切れてしまい、
機器を破損する恐れがある。こうしたことから、必ず指定された粘土や性状の潤滑油を入れること。
基本的に機器の取り扱い説明書に各メーカー(ブランド)ごとに対応した指定の潤滑油の種類や粘土、
規定量が記載されているので確認すること。
また、工場等の器機の多い場所では、潤滑油の管理台帳等を作成し、
一覧表を作っておくことで容易に潤滑油の種類を確認することができるのでお勧めだ。
3. オイルゲージタイプの給油
ここからはオイルゲージタイプの潤滑油の給油方法を解説していく。
4. 給油口を開ける
出典:http://oil-gauge-kyowa.co.jp/goods/?gi=g00043
オイルゲージとは図の通り、金属製の筒の中にガラスやプラスチックの管が入っており、
機器内の潤滑油レベルを外から確認することができる。
オイルが規定レベルより下がっていたら、指定された潤滑油を準備し給油口を開ける。
5. 給油する
給油をする際は図のようなオイルジョッキを使うと作業しやすい。
通常オイルは少ないものだと、バイクのエンジンオイルの1L缶、次に車用の4L缶、さらに大きいと20Lペール缶、200Lドラム缶の荷姿になる。
1L缶はまだわかるが、それ以外の荷姿は重たく作業性が悪いので、一度潤滑油をオイルジョッキに移してから給油を行うこと。
また、必ずウエス(ぼろ布)等を持参すること。床にこぼれたオイルをそのままにしておくと、滑りやすく転倒の危険があるため十分注意すること。
6. 油面が上昇することを確認する
給油の際はいきなり規定量まで給油せず、少しだけ給油し、オイルゲージの油面が上昇することを確認すること。
図の導通管はまれに詰まっていることがあるので、少しずつ給油を行い油面の上昇を確認すること。
この時、いくら自分が給油したかオイルジャッキのメモリで確認すること。
機器のサイズにもよるが規定量に対して何%給油したかを計算することで、オイルゲージがどれくらいレベル上昇するか図面から計算できる。
油面が上昇しない場合は導通間が詰まっている可能性があるので、作業を中断し、職長や上司に連絡すること。
7. 適正レベルまで給油する
適正レベルまで給油を行う。給油時にオイルを入れすぎた場合は
機器の温度上昇や潤滑油漏れの原因になるので、
ドレンから少し抜き出して油面を適正レベルに調整すること。
8. 給油口を閉める
出典:https://www.imao.co.jp/photo/oilcap-b.jpg
ここでワンポイント。給油口は外気と機器内の圧力をバランスする為に息継ぎができるようになっていることが多い。
空気の通り道に絶対にシールテープを巻かないこと。
運転中に機器の内圧が上昇しオイルシールのダメージや潤滑油漏れの原因になるので注意すること。
9. コンスタントオイラータイプの給油
ここからはコンスタントオイラータイプの潤滑油の給油方法を解説していく。
10. オイラーを外してオイラーに給油する
出典:https://img.directindustry.com/ja/images_di/photo-g/19249-2687193.jpg
コンスタントオイラーは、図のようなオイラーに潤滑油を入れておき、
レベルが下がると自動的に適正な油面を保ってくれる。
もし、オイラーが空になるとそれ以上潤滑油が自動で給油されないので、定期的にレベルを確認すること。
まず、オイラーを取り外したら素早くさかさまにしよう。そうしないとオイラーからオイルが垂れてきてしまう。
コンスタントオイラーの給油口は狭いことが多いので、
オイルジャッキを使うと給油速度が遅かったり、オイルがこぼれたりすので、
図のようなジェットオイラーを使おう。
11. 導通間の詰まり、傾きが無いことを確認する
コンスタントオイラータイプでは導通管の高さによって油面を調整している。
この導通管が曲がったり、傾いたりしていると適正な油面に調整されず、
油面が著しく下がったり、油面が高くなりすぎたりするので注意すること。
12. オイラー本体やネジ部から漏れがないことを確認する
コンスタントオイラーを元の位置に戻したらあたりから漏れがないことを確認しよう。
どうしてもコンスタントオイラーをさかさまの状態から元の状態に戻すとき手際よくやらないと
オイルがこぼれることがあるので、きちんと清掃するかこぼれてもいいようにバット等で受けながら作業すること。
また、油をこぼしたまま放置すると滑って転倒する危険性や、他の人が潤滑油の漏れと勘違いするのできちんと清掃すること。
日頃から機器をきれいにしておかないと、いざオイル漏れが発生してもいつも汚いとそれがあたりまだと思って異常が発見できない。
いつものことながら清掃はきちんと行うこと。